脱炭素の教科書

脱炭素(主に再エネ)について語っていきます。

脱炭素社会を他人事だと思うな

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

 

カーボンニュートラル

「脱炭素社会」

 

最近これらの言葉を目にする機会が増え、世界規模で取り組まなくてはならない環境問題であることは皆さんもご存知でしょう。

一方で、「自分にできることは何もない」などと、どこか他人事だと思ってはいないでしょうか?

まだまだ他人事のように感じている皆さん、特に経営されている方に言いたい・・・

この風潮を感じられず、波に乗れない企業は生き残れません。

では、脱炭素社会の取り組みをどのように行えば良いのか、出遅れるとどうなってしまうのかを挙げていきます。

 

企業が取り組める脱炭素

自社発電所保有する

まず一つは、自社保有発電所によって発電された電力で自社使用電力を賄うことです。

自社保有発電所として導入しやすいのは太陽光発電でしょう。

また、ここで紹介する自社発電所とは、売電を目的としたものではなく、自社で消費する「自家消費型太陽光発電と呼ばれているものです。

自家消費型太陽光発電とは、自社敷地内に設置できる屋根や空きスペースに太陽光発電を設置します。しかし、貸し店舗だったり屋根が劣化していたりなど設置できない状況で諦めた企業も多いのではないでしょうか。

結論から申しますと、

設置できる屋根やスペースが無くても、自家消費できる方法はあります!

離れた場所にある土地に自社発電所を建設し、需要場所に電力を調達することが可能です。(※同じ電力管内に限ります。)ですので、敷地内に設置できる場所がないからと言って断念しないでください。

土地を所有している場合はその土地に発電所を建設し、土地を所有していない場合は、土地調達から行っている施工業者を調べてみてください。いくらでも出てきますから。

 

メリット

  • 追加性のある再エネとしてPRできる
  • 電気料金の削減が可能
  • 対象の補助金が受けられる
  • 税制優遇を受けられる(即時償却)
  • 災害時における非常用電源として活用できる

デメリット

  • 発電所建設費用が必要となる
  • メンテナンスが必要
  • 電線の盗難被害に遭う場合がある

 

使用電力相当分の環境価値付き証書を購入する

環境価値付きの証書を購入することで、実質的に再エネ電力を使用している事とみなすことが出来ます。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、自然の力を借りて発電している為、24時間365日発電できるわけではありません。RE100を実現しようとすると、環境価値付き証書の購入が必須となってくるでしょう。

現在日本で扱われている環境価値付き証書は次の3つです。

 

メリット

  • 自社発電所が無くても、再エネ由来の電力を使用したとみなすことが出来る
  • 発電所保有することによるリスクが無い

デメリット

  • 毎年必要な分を購入し続けなければならない
  • 価格高騰の恐れがある

 

再エネ由来の電力プランに切り替える

最後は、大手電力会社や新電力で取り扱っている再エネメニューに切り替える方法です。この方法が一番手っ取り早いかなと思います。

 

メリット

  • 発電所保有することによるリスクが無い
  • 手続きが簡単

デメリット

  • 今までの電気料金より高くなってしまうことがある
  • 料金単価が上がる恐れがある

 

結局のところ

3つの方法を紹介しましたが、一番のオススメは経済的にもメリットのある自家消費型太陽光発電です。建設費用の投資が必要ではあるが、補助金や税制優遇を利用すれば、より効果的に導入することが可能であり、コストパフォーマンスが一番高い再エネ調達方法だと言われています。

RE100を目指す企業であれば、自家消費型太陽光+環境価値付き証書の組み合わせがメインとなるでしょう。

 

出遅れることによる損失

「2050年までに取り組めば良いのだから、まだ大丈夫」と思ってしまった方、今後起こりうる出来事を挙げていきます。

部材高騰問題

今現在、太陽光業界では部材の高騰が起こっています。

パネル高騰、半導体不足、架台高騰・・・

部材のほぼ全てが高騰しており、その負担は導入する企業になります。

今ならまだ、高騰前の在庫で発電所建設が可能な施工会社もいるでしょう。

ただ、その在庫もなくなってしまったら・・・

間違いなく今よりも高い建設コストで発電所の導入が余儀なくされます。

 

設置場所(土地)の問題

自社発電所を導入するにあたって設置場所が必要になります。

敷地内に設置できる屋根やスペースがあれば良いですが、土地の調達からしなくてはならない場合、行動が遅ければ遅いほど、太陽光発電に適した土地が無くなってしまいます。

日本領土は殆どが山です。山を切り崩した太陽光発電もたまに目にしますが、自然を破壊して設置する再エネは本末転倒であると考えます。

万が一にも、発電所が原因で災害が起きた場合の責任問題もついてきます。

 

土地は有限であり、早い者勝ちです。

 

環境価値付き証書の取り合い問題

環境価値付き証書は再エネから発電された電力に付与される価値です。

前述の通り、土地が有限であることから、そこに建設された再エネも有限であると言うことになります。

いずれは、環境価値付き証書の需要と供給のバランスが崩れ、価格高騰が起きます。

もっと言うなれば「どんなに高くなっても欲しいのに買えない」という状態が起こりうるという話です。

 

最後に

現段階で脱炭素に対する取り組みが無計画だったとしても、取り組むにはどんな方法でもお金がかかるので、「周りの様子を見てから・・・」と慎重になってしまいますよね?

その考えは十分に理解できます。

 

今回、私が話したかったのは

タイミングを逃してしまうと、よりコストがかかってしまう

ということです。

きたる時期で脱炭素化に取り組めなければ、取引先企業もなくなるし、支持してくれる顧客もいなくなってしまうでしょう。

 

少しでも脱炭素社会に対する関心を高めてもらえるように今後も情報を発信をしていきたいと思います。