脱炭素の教科書

脱炭素(主に再エネ)について語っていきます。

RE100を達成するには

RE100とは

RE100とは「Renewable Energy 100%」の略で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブを指します。

 

www.there100.org

 

2021年10月時点で日本企業62社がRE100を表明しています。

 

固定価格買取制度(FIT)の電気はRE100の対象にならない!?

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再生可能エネルギーは固定価格買取制度(FIT)によって数多くの発電所が作られました。

FIT発電所を既に保有している方の中には、事実上RE100を達成していると思った方も少なくないでしょう。しかし、FIT認定を受けた発電所の電気はRE100として認められていないのです。

FIT発電所の電気は、需要家(国民)が「再エネ賦課金」として費用負担している為、環境価値に対しての対価が支払われているという形になっております。また、発電した電気は一般送配電事業者が買取り、その後JPEXを通して小売電気事業者が購入している流れになっています。したがって、JPEXでは火力・石炭・原子力などの電気も含まれているため、FIT発電所の電気をRE100として認定することが出来ないのが今の日本の現状になっています。

 

一方で、非FIT発電所(要するに自家消費型)は国の買取義務がなく、環境価値が発電所に付与されていることになります。

そのため、非FIT発電所で発電された電気はRE100と認定することが出来るのです。

 

環境価値付き証書の中にもRE100対象とならないものがある

日本で取引されている環境価値証書は

この3種類であるが、RE100の対象となるには条件が必要なものもあります。

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CDP :気候変動など環境分野に取り組む国際NGO SBT :Science Based Targets 科学的な根拠に基づく目標 GHG :GreenHouse Gas(温室効果ガス)

出典:みずほ情報総研株式会社「国際的なイニシアティブと ⽇本の気候変動対策に係る国内諸制度」

非化石証書の元になる自然エネルギーの発電設備に関する属性情報を追加した場合に限って利用が認められており、この非化石証書はラッキング付非化石証書と呼ばれています。
グリーン電力証書とJクレジットに関してもRE100への活用は可能ですが、Jクレジットの場合は再エネ発電由来のJクレジットでなければ認められていません。

いずれの環境価値証書も小売電気事業者から購入することが出来ます。

(非化石価値取引市場の制度変更により需要家が直接購入が可能となりそうです。詳しくは後日記事にしたいと思います。)

 

使用電力が高圧の場合のRE100

需要場所の建物が自社保有の場合

○ 自家消費またはオンサイトPPA + 環境価値付証書

○ 自己託送またはオフサイトPPA + 環境価値付証書

○ 環境価値付証書のみ

○ RE100対応の電力メニュー

現行で可能な再エネ調達方法を組み合わせて活用することが出来ます。

 

需要場所の建物が賃貸または物理的に敷地内に設置出来ない場合

× 自家消費またはオンサイトPPA + 環境価値付証書

○ 自己託送またはオフサイトPPA + 環境価値付証書

○ 環境価値付証書のみ

○ RE100対応の電力メニュー

自家消費型やオンサイトPPA以外の方法が可能です。

 

使用電力が低圧の場合のRE100

需要場所の建物が自社保有の場合

○ 自家消費またはオンサイトPPA + 環境価値付証書

× 自己託送またはオフサイトPPA + 環境価値付証書

○ 環境価値付証書のみ

○ RE100対応の電力メニュー

現行では自己託送やオフサイトPPAは高圧以上でしか利用できません。

 

需要場所の建物が賃貸または物理的に敷地内に設置出来ない場合

× 自家消費またはオンサイトPPA + 環境価値付証書

× 自己託送またはオフサイトPPA + 環境価値付証書

○ 環境価値付証書のみ

○ RE100対応の電力メニュー

貸店舗やテナントの場合だと、証書購入やRE100対応メニューに変更することでRE100にすることが出来ます。

 

 

 

参考

環境省水・大気環境局自動車環境対策課「再エネ100%電力調達」要件の解説